このところ、部内でのトラブルが頻発し、当事者間の仲裁に入ることがありました。組織運営をする上で、ハラスメントを意識しないと、訴えられたらほぼ勝ち目はないと思われるような言動が繰り広げられることもあります。ウチには、パワハラ上司がいますが、年齢も60歳ぐらいなので、古き良き日本の会社組織にいたような、上司の俺が言ってるのに聞けないのかということをあからさまに出してきますと、この時代、当然のことながら反発を招き、衝突します。権力で押し付けようとするやり方しか知らない管理職は、非常に生きづらく、むしろ職務放棄したいぐらいの感覚に陥る時もあるのではなかと逆に同情すらしてしまう時があります。そういう人たちには、今更何を言っても無駄なんですがね。痴話喧嘩が繰り広げられている学校という組織は、いや私どもの組織はやはり未熟で幼稚だと言わざるを得ません。

僕は、昔からウチの学校は、なんて人に恵まれていない組織なのかと思い、大手商社さんから自衛隊組織まで話しを聞きに行ったことがあります。商社さんから言われたのは、教員が良い教育を施していないから、組織も停滞して社会的にも勢いがない学校と映るのではと言われました。メガバンクの役員さんからは、学生に覇気が感じられないと、やはり組織を構成している教職員に何らか問題があるのではと突き付けられているように感じました。

自衛隊組織では、国防に関わるため、上司の命令は絶対であり、有事の際は、席次が良い人間から現場に送り込まれるのは、戦時中と同じということで、国の存亡が掛かっていることを強調しておられました。常在戦場という言葉が適切かも知れません。自衛隊幹部も銀行員も異動のスピードは早いです。自衛隊であれば、東京の市ヶ谷に本社たる防衛省があります。異動で市ヶ谷に転勤になると、優秀な人間が多く、残業も他の省庁と同じく半端なく、仕事は熾烈さを極め、メンタルに影響を及ぼす人も出てくるようです。市ヶ谷に3自衛隊幕僚監部と統合幕僚監部が集結し、シビリンアンと制服組が融合して仕事をしています。僕は、普通はまず入れない海上自衛隊の総本山たる海上幕僚監部の人事部門にお邪魔したことがありますが、そこで人材育成について話しを伺いました。自衛隊は若年定年制を採用しているため、再就職の問題が常について回ります。対応いただいた、面談いただいた高級幹部の方は、防衛大学校を出て、幹部候補生学校を卒業する際、職種を選択する必要があり、出世を度外視して、他社で使える人材となることを意識して、後方部門(管理部門)を希望したそうです。そこで、専門ごとに職域が分かれ縦割りも超縦割り組織と言える自衛隊組織が、上手く機能している理由が何か考えてみました。それは階級社会であること、あとは一人一人に採用時の成績が背番号のように振られ、それを基準に人事が回っていることを理解しました。国家公務員の特徴ですね。色がついていない、一番最初の試験で公平に判断する、まあ聞こえは良いですが。更に、幹部は、海曹士からの叩き上げでなければ、仕事の本質を理解するのは難しいでしょうし、現場の末端の仕事は海曹士に任せて、語弊なき言わせてもらうと、本当の意味で管理に徹底することに専念して現場を渡り歩きながらキャリアを積みます。

指示系統に徹するわけですから、幹部候補生学校での教育も凄まじいものがあります。わざと追い込みを掛けられたり、究極の状況下で判断を冷静に下せる教育を受けることで真剣勝負で勉強し相手と対峙していくことで一本筋の通った人間が築き上げれ、組織運営が脈々と受け継がれているのではと思いました。詳しくは海上自衛隊幹部候補生で動画検索すると、学校生活の記録が出てきます。僕はその中に登場している方とご縁があり、この動画をみるたびに日本のエリートを育てる自衛隊組織の奥行の深さに驚くばかりです。適性によっては、外国の大学院などで学ぶ機会も与えられるなど、普通の組織にはない人の活かし方があります。少し前になりますが、イージス艦と漁船がぶつかった時にクローズアップされた隊員さんと話す機会があり、その方は船には乗れないようなキャリア形成になったようですが、研究者として歩む方向性が見出され防衛大学校の学歴だけでは足りないということで、大学院に進学するチャンスを与えられました。いずれの方々も魅力ある素晴らしい人たちです。

そう言えば、幹部自衛官で問題を起こす人はあまり聞いたことがありませんね。

命令はパワハラと隣り合わせの時代ですが、指揮系統が根底から揺らぐと国防は成り立ちませんので、シャバの世界とは一線を画す組織にならざるを得ないですね。

下に動画を添付します。この動画は16年ほど前のものになりますが、既に当時の学生から艦長など基幹を担う幹部が出てきています。

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